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整形外科


整形外科担当 副院長 松岡 翔
当院では、整形外科の診療に力をいれております。小型犬(トイプードル、ポメラニアン、チワワ、ヨークシャテリアなど)では、骨折を始めとして、様々な整形外科疾患がみられます。整形外科疾患は、事故などでのケガとして生じるものだけではなく、犬種特有の骨の構造や遺伝性に起こってくるものもあります。

大学病院で整形外科の研修をつんでいる獣医師も在籍しており、複数の獣医師と看護師がチームになって治療に取り組んでいます。

整形外科疾患の例

骨折

小型犬(トイプードル、ポメラニアン、チワワなど)は、非常にささいな出来ごとで骨折してしまうケースが少なくありません。特に前足(橈骨、尺骨)の骨折が多く、当院でも骨折手術の大半を占めています。
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症例1:前肢骨折(トイプードル:橈尺骨骨折のプレート固定術)

整復前

整復後

症例2:後肢骨折(フレンチブルドッグ:脛骨骨折のLCP固定術)

整復前

整復後

症例3:後肢骨折(ミニチュアダックスフント:大腿骨骨折のLCP固定術)

整復前
整復後

症例4:前肢骨折(ヨークシャーテリア:撓尺骨再骨折のLCP固定術)

整復前

整復後

LCPでの固定とは?

LCP(Locking-Compression Plate)は、新しいコンセプトの骨折整復システムです。このプレートのスクリュー穴には専用の溝が切ってあり、プレートとスクリューがロックされるように設計されています。
従来のプレートと比べると、骨癒合に重要な骨膜の血流を温存することが可能です。また、粗鬆骨における固定性の向上が期待できるなど、骨折治療に有利ことが多いシステムです。


骨盤骨折

骨盤骨折は交通事故で発生しやすい骨折です。近年では、外出先だけでなく、自宅の敷地内での事故も多く起きています。骨盤骨折は四肢の骨折と比べ、合併症も多いため、症状があればすぐに来院してください。

交通事故による骨盤骨折(柴犬:骨盤骨折整復術)

整復前

整復後

膝蓋骨脱臼

こちらも小型犬で多い病気です。生まれつきの骨の形成異常で起こることが多いため、早期発見、早期治療が重要になってきます。小型犬を飼われた方は、ぜひワクチン接種時などに膝関節のチェックをさせてください。膝関節脱臼の症状の程度には段階があり、お散歩中に時々スキップするようにみえるのも、もしかしたら軽度の膝蓋骨脱臼があるのかもしれません。
膝蓋骨脱臼には重症度(グレード)が1から4まであり、それによって治療法が異なってきます。膝蓋骨脱臼が疑われた場合、触診による整形外科検査やレントゲン撮影を行い、正確に状況を把握することにより、より適切な治療を施すことに努めています。
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膝蓋骨内方脱臼グレード2(トイプードル:滑車溝形成術、脛骨粗面転移術)

整復前

整復後

膝蓋骨内方脱臼グレード4(トイプードル:大腿骨骨切り術、滑車溝形成術、脛骨粗面転移術など)

膝蓋骨内法脱臼で最も重度のグレード4は、ほとんどの場合、生後1年以内に症状が認められます。骨の成長段階で脱臼が起こると、骨の変形が生じてしまうため、うまく足を地面に着けることができなくなってしまい、3本足で歩くようになったり、逆立ちをするようなポーズで動き回ったりすることが目立ちます。
この場合では、骨を人工的に切断し回転させて固定を行なうことで、正常どおりの歩行ができるようになることを目的とします。


前十字靭帯損傷

前十字靭帯は膝関節を構成している靭帯の1つです。
人でもサッカー選手が損傷しやすい部分ですが、犬も激しい運動や慢性的な膝蓋骨脱臼が原因で損傷することがあります。同時に半月板を損傷しているケースも多く、歩くたびに痛みを感じてしまいます。
手術では、膝関節を安定させ、損傷した半月板を除去することで、痛みなく歩けるようになります。

前十字靭帯損傷の手術は様々ありますが、当院では脛骨高平部水平化骨切術(TPLO)と関節外法(Flo変法)を採用しています。体重や活動性を考慮して、手術方法を選択しています。特に、TPLOは他の手術と比較して、部分断裂や慢性経過をとる変形性関節症に適応でき、骨関節炎の進行が低いと言われています。

TPLO(脛骨高平部水平化骨切術)

手術前

手術後

股関節疾患

股関節の疾患には、外傷性の股関節脱臼や、遺伝的な股関節形成不全による関節炎、また、レッグペルテスという小型犬特有の疾患などがあります.治療方法はそれぞれの疾患によって様々です。

レッグペルテス(トイプードル:大腿骨骨頭切除術)

手術前

手術後

肩関節脱臼

トイプードルなどの小型犬種にまれにみられる疾患です。外傷などで急に痛みを生じた後、跛行がみられます。
1度脱臼すると、整復しても再脱臼してしまうことが多く、外科手術が必要になるケースもあります。
通常、人工靭帯を使用した関節の安定化術(手術①)が行なわれますが、その後も脱臼を繰り返すケースでは、関節固定術(手術②)を実施することもあります。
手術前

手術後①

手術後②

最後に…

動物でみられる整形外科疾患は様々あり、内分泌疾患や免疫疾患が関連しているケースもあります。整形外科というと、手術のイメージが強いかもしれませんが、病気の種類や症状の程度、年齢によって治療法は様々です。普段一緒に生活している中で、動物たちの行動の変化に気づいてあげられるのはご家族の皆様です。些細なご心配でもかまいません。何かございましたら、ぜひ一度ご相談ください。